「チームで使うAI」の可能性を探った実証実験
導入の背景
2025年5月、サイボウズ式ブックスから書籍『PLURALITY 対立を創造に変える、協働テクノロジーと民主主義の未来』(ライツ社)が刊行されました。書籍が掲げる「プルラリティ(多元性)」は、対立を創造に変え、多様な声を束ねながら未来を設計していくための新たな社会のビジョンとして提示されました。

書籍『PLURALITY』表紙(出典: サイボウズ式ブックス)
多様な声をどう拾い、どう議論につなげるか——この問いは「対話と議論」を大切にしてきたサイボウズの組織文化とも深く重なるものでした。
そのような中、多元現実の青山が以前「サイボウズ・ラボユース」(サイボウズ・ラボの若手研究者育成プログラム)に参加していたこともあり、青山が開発した熟議支援ツール「いどばた」をサイボウズで試験的に使ってみてはどうか、という話が持ち上がりました。
AIを活用した新しいコミュニケーションの形を探りたい。そうした期待感がこの取り組みの出発点になりました。
取り組みの内容
いどばたの体験イベント
最初の一歩は、2025年8月にサイボウズ社内で開催した「いどばた」の体験イベントでした。約50名の社員が参加し、実際に手を動かしながらAIを活用した議論を体感しました。このイベントの様子はのちにサイボウズ式でレポート記事が公開されました。


ワークショップ当日の様子(出典: 「社員の本音」を5分で可視化。AIを使った新しいワークショップの形(サイボウズ式))
「いどばた」「倍速会議」を社内で利用
体験イベントのあと、複数の部署で活用が進みました。2025年9月から12月前半は「いどばた」を利用していましたが、2025年12月後半から2026年4月は後継ツールである「倍速会議」へとシフトしていきました。倍速会議で作られたセッション数は28、のべ回答者数は95人となりました。
利用シーンは、30〜40人規模の社内イベントから、4〜5人の打ち合わせまでさまざまでした。議論テーマについても組織の方針検討、少人数のチームの業務改善、特定のテーマに関する意見収集など、幅広く活用されました。
利用開始当初は、会議中に同期的に利用することを想定していましたが、徐々に会議前の事前ヒアリングとして使うケースが増加し、非同期的な利用も有効であることがわかりました。
倍速会議の効果
倍速会議の利用者からは次のような声が寄せられました。
論点が整理されるので議論が進みやすかった
会議のテーマが抽象的な場合「なにを話すか」を整理することに時間がかかりますが、倍速会議で事前に論点を整理することで、当日はより深い議論に集中できるようになりました。
ファシリテーターには見えていなかった意見の相違が可視化された
倍速会議で意見が可視化されることで、これまで見過ごされていた意見の相違に気づくことがありました。より丁寧な対話が進めやすいと感じました。
選択式の質問に答えることで、言語化できていなかった考えが整理された
個人個人の回答結果についてもレポートが生成されるので、回答者自身が言語化できていなかった考えが整理されました。「自分はなにを言いたいのか」をAIが支援することで、意見を表明しやすくなる効果がありました。
匿名にすれば普段は言いにくいトピックも話しやすかった
話しづらいテーマでは匿名での回答としましたが、立場などを気にして発言を控えてしまう場面でも、意見を出しやすくなりました。
振り返りと今後の展望
本取り組みを通じてサイボウズは「多様な声を聞くためには何が必要か」「チームでAIをどう活用すればよいか」について検証することができました。実際の会議やイベントでツールを活用したことで、机上の議論では辿り着けなかった示唆が得られました。
今回得られた知見は、サイボウズのプロダクト開発や、社内のAI活用の検討に活かされていく予定です。
プロジェクト概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| クライアント | サイボウズ株式会社 |
| 期間 | 2025年9月〜2026年4月 |
| 利用ツール | 「いどばた」「倍速会議」 |
活用したプラットフォーム
プロジェクト概要
- 協業先
- サイボウズ株式会社
- 導入経緯
- サイボウズ式ブックスから刊行された『PLURALITY』をきっかけに、AIによる新たな対話を探るべく、熟議支援ツール「いどばた」「倍速会議」の社内実証実験を実施した。
- 協業期間
- 2025年9月〜2026年4月
- 利用ツール
- 「いどばた」「倍速会議」。倍速会議で作られたセッション数は28、のべ回答者数は95人。
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